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eau de vie撮影レポート
■Vol.10■ 10月15日

さあ、みんなぞくぞく砂浜で死んでゆきますよ。
今夜は火露見、小山田サユリの番です。しかし、彼女は死んではいない。
彼女なしではハナシが終わる。生きた女として夜の砂浜に順三郎とうごめき、愛をひっそりと交わす火露見を、きれいにそして切なく撮ってあげたい・・・と思う。幸運なことに今夜は、ウソのように暖かく風がない。良かった!死体日和です。 あ、仮死体日和か。火露見の場合。

いさり火輝く大森浜に全員集合。 船の光や月明かりでしか照らされたことのない夜の海が照明で浮かび上がる。 夢の途中で起こされた砂浜は覚醒できずにぼんやりと光を受けとめています。やっぱり海はいい。女はここで死ぬべきなんだ。
そんな砂浜の上で段取りをしつつも、何かこうセンチメンタルになってしまう。まして、これから順三郎と火露見の抱擁シーンを控え、そして各自、披露に酔っているというのもあり、まったりとたたずんだりして。
そんな時は目が合った人と一緒に立って思いにふけるのがいいですね。

この「オー・ド・ヴィ」の撮影で集まっていただいた各パートの人たち。
もちろん全員が私にとって初対面の方で、今日までちらちらと会話をしていたのだけれど、今夜はそういったシチュエーションの中で、もっとも違うハナシをすることができました。それはこの映画に関係のないハナシだったりするのですが、結局根本は「アタシ、ホント映画好きよ」ということなのですね。
監督助手の原谷さんは金色になびく髪の毛で分かるように、そのパッションのほとばしりをグリーンのおやじツナギでくるみながら「あのオッサンがいいのよ」としみじみ語った。「あの」と指さした先には、芝居用の砂の絵の大きな女性性器を張り切って書いている監督がいた。人の頭二つ分くらいのクリトリスをなぞるオッサンか。
まだ撮影には入らない。次に砂の上ですれ違ったのは、スタイリスト助手の樋口さんである。なんとなく海を見ながら詩や短歌のハナシをした。コトバはある日ふと降りてくるものだということを、時々夜空を見上げながら「フィニステール」の客・クラブのママ役でエキストラ出演をこなしたばかりの彼女がつぶやいた。そうか彼女はいつもコトバを待っている人なんだ・・・。

大森浜は広い。撮影舞台を中心にしていろんな人がさまよっている。
寄り合ったり、離れたり、またすれちがったり。 準備が長くかかるのも、たまにはいいものです。 おかげでいろんなことが起こる。 いろんなハナシができる。しかも砂浜の上で・・・ まるで短い旅をしてるみたいだ。
あ、あそこにツルちゃんがポツリとたたずんでいる。よし、ちょっと行ってへんなハナシをしよう。コーヒーでも飲もう。 あ、上野さんがやぐらの上に立ち上がった。盆踊りで太鼓を叩く人みたいだ。監督はどこ?またあそこにいる。
今度は砂の上の性器の外陰部をいじっている。困ったものだ。

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