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eau de vie撮影レポート
■Vol.9■ 10月14日「オー・ド・ヴィ厨房部」

酒の匂いでいっぱいの「オー・ド・ヴィ」の中、唯一種類のちがうものが漂う一日です。血の通った生き物の香りで満たされた「ラ・テール」厨房シーン。井ノ上の内蔵部分である火と水と油の小宇宙。シェフはまさに王のごとく包丁をふりかざすのです。

ストーヴには本物のフォン・ド・ヴォライユ(鶏ガラのだし)にグラスード・ヴィヤンド(牛の骨の凝縮だし)が湯気を立て、そんな霧の向こう側に火露見が井ノ上の獲物としておびえ青ざめています。
つくづく思ったのは、こんなシェフ(井ノ上)嫌!ということです。恐いのなんのってもう・・・私がもしコックとして入ったなら数時間ともたないでしょう。そして井ノ上に叱られたとしたら、その傷は一生残るかもしれません。とにかく恐怖の厨房です。 生け贄のように食材がさばかれてゆくのです。

さて本物のおいしい生き餌、火露見は最後にとっておき、まずウサギです。
フランス料理の中のウサギは Lapin(ラパン:家ウサギ)と Lievre(リエーヴル:野生ウサギ)に分かれます。エサを自動的に与えられ、ある日ばっさり殺されるラパンとはちがい、リエーヴルの方は堂々としたものだ。彼らは自力でモノを食べ、生殖のために相手を探し、交わらなくてはいけない。要するに性的なのです。フェロモンの量がちがう。だからおいしい。
ちなみに、撮影用のリエーブルは男の子。皮をむいて、股をパタッとひろげたら、小たらこの煮つけのような睾丸が輝いていました。 そうか・・・ウサギにもあるのか・・・食べられるのか?それにしてもペニスがないぞ。すでに切られたのか・・・
こういった狩りでとらえた動物は、しばらく吊して何日も放っておくと聞きました。やっとその意味が分かった。だってウサギから、ウサギの肝や肉が毛皮を抜けて匂いを発するのです。まるで熟成がピークのチーズのようなたんぱく質の甘露の香水が私たちを包み、そして井ノ上を欲情させる。
その後、ハラキリをしたそのウサギの切り口から、腸や腎臓やらがどろりと流れ出て、さらに厨房内を興奮で満たし、私たちは全員、井ノ上になった。

このジビエの季節のリエーヴルの料理は普通、安くはないです。
あれ?おかしい。ロケ弁生活で単調な食生活を送っているはずなのに、とても豊かな気分になっている。この匂いとここの厨房によって。
誰か、ウサギを料理してくれ。ああ、シェフがいた。
しかしオー・ド・ヴィ厨房部は、次に井ノ上を火にかけてしまうのです。そしてウサギは食べられず、AM3:00近くやっと撮影終了。
ソースのようにドロドロに疲れた。ソースが先に出来てもねぇ。
厨房は今日でおわり。私たちは料理をやめ、やはり「オー・ド・ヴィ」を作ることに専念することにします。 蒸留部ですかね・・・。

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