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eau de vie撮影レポート
■Vol.5■ 10月10日「地の果てのダンス」

「フィニステール」地の果て
あやこと順三郎が巣食うアルコールと愛欲の滴がたまる場所。
今日一日は、朝から晩まで私たちはフィニステールで過ごした。
居るだけで酔っぱらってしまいそうな空気、もしくは気圧がおかしくなっているような、そんな酒場に私はしたかったのですが・・・ どうなのでしょう。

個人的になのですが、私のささやかな夢が目の前に現れました。
好みのバーの酒棚・・・古い酒、いい酒、と言ってしまえば簡単ですが、酒瓶の一本一本が、それぞれの雰囲気と風格を備えて、棚に私家版の書籍のように鎮座している、というのがいいのです。この話上、それらはすべて蒸留酒でなければいけなく、時が止まったような港町の片隅の酒場らしい、あたたかでみだらな感じ・・・。できましたよ。

順三郎にリツ子、カオルにあやこ、からみましたねぇ。
彼らの視線は交わされ、暗号を送り、愛をにじませる。瞳からするすると伸びた糸はもつれて、人の気持ちを縛るのです。見えない水糸が張り巡らされていて、それに捕らえられた順三郎らは、行き場所がなくとどまっている。 しかし人魚の女はするりと糸をくぐり抜け、水槽をこえて何処かに行ってしまうのでしょう。

なにはともあれ、それぞれの役者が演じる順三郎、リツ子、あやこ、カオルが今宵フィニステールにいるのです。 カオルは先に入りフルーツを洗い、開店準備。順三郎も出勤して店はオープン。もしかしたら美容室に寄ったあやこも遅れて店に顔を出す。 あやこの知り合いの婦人が客で来て、しばし彼女と談笑する。その時リツ子は順三郎に思いを抱き、ひとりマティーニなどを飲み、死体の話しをきりだす。つれない順三郎。悲しみに沈むリツ子。次にヤブ医者があやこを席に呼び寄せ、アルマニャックをふるまい、さらに上機嫌。ダンスに誘い出しフロアで踊るのだが、それはリツ子に火をつける。音楽に合わせ揺れる2組。体はまわり、感情を酔いにまかせ、よどんでゆく。静かな火花があやことリツ子の間に立つ。順三郎を媒介にして。そして敗北者としてリツ子は足を引きずり消える。
もうここだけでもすごいドラマなのです。朝加リツ子は本当に切ない女。

さらにさらに、このドラマに拍車をかけるのが、ここにヤブ医者役で登場するあがた森魚の音楽です。流し風の、または偶然居合わせたミュージシャンが演奏する曲のなんて切ないこと。 ポロポロと水滴のようなピアノの音。 水滴を集め、流れをつくるバンドネオンの旋律。 これぞ命の水。 素晴らしすぎる。
俗も汚れもすべて見越したやさしい目をした岡嵜恵二さん。
あなたとバンドネオンの調べは、地の果てを流れます。
そしてみなさん、そんなフィニステールを作ってくれてありがとう。

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