■Vol.4■ 10月9日「リツ子・その後・その死 壇一雄ではない」
|
4日目。リツ子死す。壇一雄ではない。
朝の浜辺に「かっぱえびせん」を持ってたたずむ、阿部さんそしてキャメラの上野さん。
白波が立つ風吹く砂浜をバックに、「かっぱえびせん薄塩味」の袋を抱えて仁王立ちしていた上野さんは恐かった。そしておもむろに宙にばらまく。
ひらひらと「えびせん」が舞い、カモメが騒ぎ、その瞬間ネイチャリスト上野が誕生したのだ。白いカモメが黒塊のような彼におそるおそる飛行してきて、これをきっかけに我が篠原組とカモメ組は仲良しになった。
まぁ見るからにあやしい撮影隊なので、カモメも恐がるのも無理はない。でも、もう大丈夫。この後カモメは全面的に協力してくれ、リツ子の死体の風景を味わい深いものにしてくれた。
「オー・ド・ヴィ」史上、最も悲しい女・リツ子である。不自由な脚、片っぽしかないおっぱい。そして順三郎との愛のかけひきの敗者。朝加真由美さんの口角をキュッと上げた微笑み方は、さらにリツ子の薄幸さを加速する。
―薄幸・・・ 醗酵? だからリツ子はeau de vie になったのか?―
だからこそ、リツ子の死は祝福されなければいけない。ゆらゆらと昇華した彼女の魂はカモメたちに先導され、どこかのユートピアへと旅立つのだ。
そして今日のように風が強い日ならば、もう苦しみが宿ることのないリツ子の止まった肉体は、すぐさま砂に隠され化石のように眠りにつくのでしょう。
だったらなんて理想的な天候なのだ。函館のまわりの気象、ひいてはこの地球というものに感謝したいです。
それにしても、リツ子の傍らに転がっているニセモノ乳房の本物(すごい日本語!)にも驚かされた。私はああやって簡単に書いてしまったけれど、実際モノを見るのは初めてだったのです。サイズに合わせてオーダーメイドで作るものらしい。
とするとそれは朝加さんの実物大? 本当? ここも? そしてここも?
とにかくピンクのシリコンのおっぱいは、思わず吸ってみたくなる位キモチいい。
世の中の全女性のあこがれを一つに集めたようなやわらかさ、適度な弾力、ほどよい重さ、みずみずしい旬の果物のよう。いいなぁ。いっそのこと私も、2つともこれに取り替えてみようか。順三郎が執着するのも解るような気がします。
気がつくと撮影部隊数名が、砂にはいつくばっている。何してるの?
フナムシを採っているらしい? えっ?いつから海の生き物観察隊になったの?
ピョンピョンはねるフナムシは手強い。みんな頑張る。片っ端から捕えてキャメラ前へ。
数十分後、砂にひとつ置かれた例のピンクのシリコンおっぱいの周りを、フナムシがエキストラで通行する・・・という画が撮られた。
で、終了。 篠原組が去った後、波打ち際にニセモノ乳房の代わりにシャケの頭が残された。 カモメ隊へのささやかな「おきみやげ」である。
>> Next Report
<< Back Report